インプラントの危険性について

かつて私は、インプラントについて否定的ではありました。もちろん、インプラント治療が出来ないからではなく、インプラントコース等も受講して臨床もした上での結論です。
また、全国でも歯科医師による技術不足や倫理欠如から来る事故が多く報告されていることも生活相談センターなどでの情報からも読み取れる通りです。(詳しくは、生活相談センターのページをご覧ください)

しかし、私はインプラント自体を反対しているのではありません。
熱心に研究をされた先生が、適応症例と患者さんの体調を総合的に加味し、問題のない状態で行うのであれば、私は良い治療法だと思います。
実際に、当医院にいらしてる患者さんでもインプラントを切に希望される方には、インプラント治療を行っています。

しかし、骨の厚みなども分からないパノラマレントゲンで撮影しただけで、CTによる骨量の事前検査をしないでインプラントをするような、そんな適当なインプラントがあって良いわけがありません。
また、歯周病の治療を十分にしないで、抜歯してインプラントを入れても長期に機能することはありません。歯を失った原因に対する処置をきちんとして、それ以上歯を失わない様にすることが先決です。

もし、CT撮影などの事前検査なしにインプラントを行ったとしても、ほとんどの場合成功すると思います。しかし、失敗した場合に、身体にかかるダメージが大きいことも忘れてはいけません。
「ほとんどの場合成功するけれども、失敗したときのダメージが大きい」
だからこそ、理論上失敗の確率を限りなくゼロに近づけるための努力が、歯科医師に求められています。

インプラントをお考えになられている患者さんには、ぜひそのことを頭に入れていただき、ご検討になられることをお薦めします。

成功率が例え99%であったとしても、自分の番で失敗してしまったら何の意味もありませんので。

国民生活センターからの報告文より

重篤なインプラント事故を起こしたとして、メディアでも報道されたものとして、以下のようなニュースが過去にありました。

1) 2006年2月28日 インプラント治療で、歯槽骨内にネジを残留した歯科医院に賠償命令
インプラント手術で、歯槽骨内に誤ってネジが残された為、治療部分に激痛が続いたとして、大分市内の女性が同市内の歯科医院に損害賠償を求めた訴訟で、大分地裁は27日、歯科医院に慰謝料など約400万円を支払うよう命じた。
判決によると、女性は、インプラント治療を同医院で受けたが、治療部分に激痛を感じるようになったため、同医院でインプラントを外した。しかし、痛みが治まらなかった為、別の病院で再手術をした際に、歯槽骨の中にネジが残されていたことが判明した。
2) 2007年7月14日 インプラント手術中に出血が止まらず、70歳女性が死亡
東京都中央区八重洲の歯科医院で5月、インプラント手術を受けた都内在住の会社員の女性が、手術中に出血し死亡したことが13日、分かった。警視庁中央署は業務上過失致死の疑いもあるとみて、遺体を司法解剖するなど捜査を始めた。
調べでは、女性は5月22日、男性院長からインプラント手術を受けている最中に出血が止まらなくなり容体が急変。すぐに別の病院に運ばれたが、特別な手当てもなく帰宅。その後再び内出血をきたし、気道圧迫により翌23日に死亡した。
警視庁は出血と死亡との因果関係を調べるとともに、手術に問題がなかったかなど、事情を聴いている。
3) 2010年1月19日 愛知・豊橋の歯科クリニックでインプラント使い回しの疑い
愛知県の豊橋市歯科医師会は、19日、厚生労働省で記者会見し、同市内の歯科クリニックが治療を失敗して抜けたインプラントを他の患者に使い回す不正治療を行っていたとして、刑事告発や民事訴訟の検討を発表した。
同クリニック勤務の歯科助手が昨年11月、院内に保管されていたインプラントを同医師会に持ち込み、専門家に鑑定を依頼したところ、ヒトの組織が付着していることが確認されたという。厚労省によると、インプラントの使い回しは、医療器具等の適正な使用を医療関係者に義務づける医療法違反にあたる可能性があるという。

これらはすべて歯科医師側の技術不足や倫理欠如によるところが大きいです。

しかし、インプラントの危険性とは、これだけではありません。
インプラント治療システムそのものの欠点ともいえる危険性があるのです。

人間の骨格を見ればわかりますが、遊びの構造は重要です。
足底にはアーチ(土ふまず)があり、関節には関節包があり、椎間には椎間板があり、脊柱はS字状に湾曲しています。
これらはすべて遊びを構成する要素であり、遊びによる力の分散が動物として生きていくには欠かせない要素といっても過言ではありません。

口の周りでは、顎関節に関節円盤があり、歯には歯根膜があります。
インプラントは維持力が強いという反面、歯根膜がなく遊びがないことを忘れてはいけません。
例えば歯根膜があれば、その遊びの中にセンサーがついていますので、細いもの(例えば髪の毛)を咬んでも気付くことが出来ますし、突発的に硬いもの(例えばアサリの中の小石)を咬めば瞬間的に口をパッと開けることが出来ます。
しかし、歯根膜という遊びを持たないインプラントは、咬みこんでしまいます。

さらに、携帯電話の普及などにより、有害電磁波が飛び交う社会となり、チタン製インプラントがアンテナとなって電磁波を集積し電磁波過敏症を誘発する原因になりうることも考慮すべきです。
電磁波に影響されやすい患者は「インプラント禁忌症」となります。